: 大人の資格 衣がえ編
「もぉ。せっかくこの前の休みに衣がえしたのに、こんなに暑くなるから着てくるものに困っちゃった」
と、女子ロッカーで話しているのを小耳にはさみ、目と耳が大きくなる。
「衣がえ」という行事(?)を、学生時代の制服以外全くしていない私には、贅沢な響きを含んで聞こえるのだ。
さらに話に耳を傾けると、どうやら季節がら、あと半年近く着ない服は、クリーニングに出したというじゃないか。
想像してみる。やわらかい午後の日差しの入ってくる、広々整然とした部屋に正座をしてノリのきいた服を入れ替えていく。
その様子を想像した途端、今まで同じ目線にいたはずの人が、急にお隣のお姉さんに、私はストンと小学生になってしまう。
「衣がえの日」を設けられる余裕への羨望か、おしゃれな大人の女性と見る憧れか……。
私はといえば、外気を肌で感じながら、そろそろ長袖……、そろそろトレーナー……そろそろ……、と都度奥からひっ張り出して、12月初旬にはタンスの入替えが自然に済んでいるというサバイバーぶり。
はぁ……。だから、一日できっちり「衣」をかえちゃってる人は、私にはまぶしいばかりだ。
